非小細胞がんの治療方針について。肺がんの80%は非小細胞がんになります。それぞれの進行期に合わせた治療が大切です。進行期別の治療法を知りましょう
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肺がん初期症状肺がん初期症状

非小細胞がん治療方針

非小細胞がんの場合は、小細胞がんよりも治療方針が多様です。これは、肺がんの広がり、つまり進行度である病期の影響が大きいためです。治療の選択肢が多いのは好ましいですが、選択肢が広い分、実際の現場では、治療方射線の照射野の限界から、病巣が胸腔内にとどまっていることが治療の条件になります。
最近では、限局型小細胞がんと同様に、放射線治療に化学療法を加えたほうが成績がよいことが明らかになってきました。そのため、実際には放射線治療と化学療法を併用することが多くなります。
一方、非小細胞がんの病巣が胸郭の外にまで広がっている場合は、がんが遠隔転移をおこし、全身化しているので、全身治療である化学療法が適応になります。

Ⅰ期・Ⅱ期

外科切除が標準治療になります。ただし、以前は、術前・術後に何らかのほかの治療が行われることは少なかったのですが、最近では、術後に化学療法を行うことが多くなってきました。これは、国内外で発表された複数のデータによって、手術後に化学療法を行うことで5年生存率が数%アップすることがわかってきたからです。そのため、がんの直径が3cm以下のⅠA期の場合は手術の単独治療になり、化学療法は行われません。しかし、がんの直径が3cm以上になるⅠB期からⅡ期の場合は、手術後に化学療法が併用されます。また術後の化学療法は、Ⅰ期とⅡ期だけでなく、開胸によってⅢA期とわかった場合でも行われます。

ⅢA期

ⅢA期の標準治療は、放射線治療と化学療法の併用です。治療前には、転移の確定診断として、縦隔鏡で行われることが多くなります。肺の外に病巣が進展した状態なので、外科切除で治癒をめざすのは難しくなります。
以前はⅢA期の治療法として、放射線治療が標準と考えられていた時期もありますが、数々の臨床試験の結果、放射線治療と化学療法を組み合わせたほうが予後の成績がいいことが分かっています。そのため、現在は、2つの治療法をどのような形で組み合わせるのがもっとも効果的であるかを検討する段階に入っています。
ただし、肺の外にがんが進展しているといっても、この病期では転移したリンパ節を含め、技術的には切除が可能な状態です。このことから、長年、日本ではⅢA期の患者さんに対しても、外科切除のみの治療を行う病院が数多くありました。おそらく現在でも多くの病院で外科切除が行われていると考えられます。しかし、データ的にみると、外科切除による治療成績は、放射線治療と化学療法を併用する化学放射線治療を上回るほどではありません。むしろ国際的には、この病期に対して、外科切除単独の治療法は推奨されていないのが現状です。

ⅢA期、化学放射線療法の治療成績について

化学放射線治療の治療成績は満足できる成績が得られているとはいいがたいのが正直なところです。ここが肺がん治療の難しい点です。
それにもかかわらず、外科切除より化学放射線治療が推奨されるのは、両者の治療法の間でそれほど大きな成績の違いがないのであれば、からだへの負担が少ない化学放射線治療を採用したほうがよい、という考え方があるからです。がんの治療では、どのような治療法を選択するにせよ、患者さんのからだに負担がかかります。治療方針を決定する3つの要素には体力も含まれますから、できるだけからだへの負担が少ない治療法を選択することで、体力を温存しておくことも重要になってくるのです。そこで最近、有望な治療法として期待されているのが、「導入化学放射線療法」という方法です。

導入化学放射線療法

導入化学放射線療法とは、まず化学療法と放射線治療を行い、微小遠隔転移巣(手術では手がつけられない、リンパ節へ転移した小さながんの病巣)をたたきます。その後、外科切除を行うという方法です。ただし、この方法は有望視されている反面、アプローチのしかたが違う複数の治療を組み合わせる方法だけに、からだへの負担が大きく、リスクも高くなります。

ⅢB期の場合

ⅢB期の標準治療は、ⅢA期と同じく、放射線治療と化学療法の併用です。しかし、がん性胸水(肺と胸腔を包む膜の層の間に水がたまること)や胸膜播腫(胸膜にがん細胞が散らばって転移した状態)をおこしている場合は、がん細胞が胸腔全体に広がっていると考えます。そのため、範囲が限られる放射線治療の対象にはなりにくいことから、実質的には、化学療法が治療の主体となります。

Ⅳ期の場合

Ⅳ期は、がんが遠隔転移をおこし、全身化した状態です。そのため、全身治療である化学療法が標準治療になります。以前は、実際に化学療法が、非小細胞がんⅣ期の患者さんの生存期間を延長しているのかどうか、明確なデータがありませんでした。そのため、化学療法を標準治療と考えてよいかどうか疑問視されていました。しかしその後、臨床試験の結果、化学療法には延命的な効果があることがわかったのです。ただし、化学療法にも限界があり、残念ながら、延命できる期間が数カ月程度と、そう長くないのが現状です。

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